【中小企業向け】4ステップでOK!人手不足対策に役立つ業務効率化手順
中小企業の人手不足が深刻化しています。対策が進まなければ、離職などをきっかけに業務を継続できなくなる恐れがあり最重要課題の一つといえるのではないでしょうか。
厳しい採用状況の中、人手不足を解消するには業務を効率化し時間を作り出す努力が必要です。時間に余裕のない中小企業が人手不足を解消できるように、短時間で業務を効率化できる方法を4つのステップに分けてご紹介します。
目次
中小企業の人手不足対策こそ業務自動化
人手不足の対策は大きく二つに分けることができます。採用を強化して人手を増やすか、業務を効率化して時間を作るかです。
一つ目の採用を強化する方法は言うまでもなくハイリスクです。多くの企業が人手不足を感じるなか、中小企業の採用は特に難しいからです。
リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査(2019年卒)によると中小企業の大卒求人倍率は過去最高の9.91倍となりました。前年の6.45倍から大きく倍率が伸び、今後もさらなる採用の厳しさが懸念されます。
そこで中小企業が注目すべきなのが、2つ目の業務効率化。業務を効率化をしようにも「時間がかかりそう」「何からすればよいか分からない」と思われるかもしれませんが、次章から時間をかけずに4ステップでできる業務効率化の方法をご紹介します。
※本記事は「人手不足の中で、できるだけ中小企業自身が業務の効率化を行う」という前提でご紹介しています。抜本的な改善は選任のプロジェクトチームを発足するか、コンサルタントの活用をご検討下さい。
STEP1:業務の棚卸を行う
業務を効率化するためには、現在行われている業務を整理する必要があります。そのために、まずは業務の棚卸を行います。業務の棚卸は時間がかかる作業ですが、短く終わらせるためのポイントがあります。以下のポイントを押さえて効率的に進めましょう。
棚卸対象の部署を定めて範囲を絞る
すべての業務の棚卸を行う必要はありません。まずは現在、人手不足になっている優先度の高い部署から棚卸を行う業務を絞りましょう。業務棚卸を行う範囲がぐっと狭くなり、スピーディーに進めることができます。
業務の詳細まで踏み込まない
業務棚卸の時点で細かな業務のステップを聞き出していると多大な時間がかかります。現時点では業務の一覧と概要を把握できるように努めるべきです。具体的には以下の情報を押さえておくとよいでしょう。これらがあれば、棚卸した業務リストをもとに効率化の方法を検討できます。
- 業務名(業務数が多いときは「大・小項目」などで業務を分類)
- 担当者
- 業務の目的
- 業務にかかる時間
- 業務が行われる頻度
STEP2:優先順位付けをする
次に、効率化すべき業務の優先順位付けをしていきましょう。棚卸した際に収集した「業務にかかる時間」と「業務が行われる頻度」をかけ合わせて、業務に使われる総時間を計算します。業務にかけている時間が長いほど効率化のインパクトが大きい可能性が高いので優先順位が上がります。
STEP3:4つの質問で業務を効率化する
業務効率化の手法を選ぶコツは、業務手順を変更しなくて済むものから着手することです。業務棚卸シートをもとに、4つの質問をしながら素早く実施できる効率化手段を考えてみましょう。
業務を減らせないか
業務そのものをなくすことができないか、もしくは実行頻度を減らせる業務はないでしょうか。毎週行っている業務を月に一度にした場合、単純計算で75%の削減効果が得られます。
業務を減らせるか判断するには、その業務の成果物がどのように活用されているか確認しましょう。
例えば、営業部門からの要請で毎週売り上げデータのレポートをメールで送付しているとします。当時の営業部門は毎週レポートを使って会議していましたが、現在は月次の会議で使われるだけ、といったケースはないでしょうか?
そういった場合は、レポートを月に一度提出するように変更するだけで、業務が効率化されます。活用されていないのに、「決められた業務だから続けている」といった無駄が見えないところに潜んでいます。
アウトソーシングできないか
自社で行わず、外部の事業者に任せられないか検討してみましょう。アウトソーシングした業務の分だけ時間が節約されるので、人手不足の解消には非常に効果的です。その業務を専門に効率的に行っている事業者に任せることにより、自社で行うよりも費用が低くなることも多いです。
しかしアウトソーシングを行うときは、少なくとも以下について確認し、問題ないと判断したうえで行ってください。
・アウトソーシングする業務が自社の強みを形成していないか
強みを生み出している業務をアウトソーシングすると、その強みが失われ競争力が低下する危険があります。また、強みのある業務か気づきにくい場合もあるので、判断は慎重に行ったほうがよいでしょう。
例えばアウトソーシングの代表的な例として「コールセンター」があります。安定して運用され、自社で行うより安上がりであれば、魅力的に感じられます。しかし自社のコールセンターが、スタッフの豊富な知識で解決策を素早く提示し、顧客満足度に大きく貢献している場合は強みを失うことになるでしょう。対応が素晴らしいと信頼を獲得していたのに、それが失われ顧客が離れていくかもしれません。
また現状で強みになっているかだけではなく、アウトソーシングする業務が今後戦略的に活用されることがないかも確認しておきましょう。
・自社の業務がアウトソーシング先の型にはまるか
アウトソーシングをすればすぐに業務がなくなって効率化されるわけではありません。アウトソーシングでは業務を標準化することで効率的に行われるので、自社独自の要求などには対応できない場合があります。アウトソーシング先の仕様に合わせて周辺業務を調整する必要が出てくるので、仕様がマッチするか確認しましょう。
担当者は変えられないか
一部の人に業務が集中している場合、担当者を変えられないか考えましょう。他の担当者でも行える業務であれば、比較的手の空いている人材に引き継ぐことができます。特定の人への業務の集中が改善され、人手不足の解消につながるでしょう。
過度に高品質になっていないか
仕事は高品質なほどよいとされがちですが、業務目的に見合った品質になっているかも注目すべきです。
例えば社内で利用される資料は、レイアウトやデザインなどに大きな時間をとる必要はないでしょう。業務が問題なく目的を達成できる範囲で、過度に高品質になっている場合は品質を下げることも検討してみてください。
STEP4:業務手順を改善する
前章では業務手順を変えずに素早く行える効率化をご紹介しました。まだ人手不足の解消には至らないという方は、業務手順の改善に挑戦してみましょう。
業務手順の改善にも効率的に行うためのポイントがありますが、業務についての詳細な調査や改善ノウハウが必要になります。自社で改善を行える人材を確保できない場合は外部の専門家に頼ることも考えてみましょう。
業務フローの再設計を行う
業務のなかから無駄な手順を省いたり効率的な方法に置き換えることで、より短い時間で業務を行えるようになります。そのためには、まず現在行われている業務の手順を整理します。業務担当者自身にフローを作成してもらい、見える化された業務フローを共有してもらうとよいでしょう。
現行の業務フローの各手順で効率化できるポイントを特定したら、改善案を盛り込んだ新たな業務フローを定義し、業務手順の改善を行います。
ITを使った業務効率化
人手で行うと時間がかかる業務もITを使って効率化すれば驚くほど短時間済む場合があります。しかし、投資コスト以上の効果があるかの判断材料がなければ導入の検討は進みません。
IT投資の妥当性を判断するために大切なことは「業務を効率化した場合の価値を数値化すること」と「IT投資の優先順位を知ること」です。これらを押さえて価値のあるIT投資か見極めましょう。
・業務効率化の価値を算出するには
業務効率化の価値を明らかにして、投資費用より高い効果を得られるか判断できるようにしましょう。月当たりの業務効率化の価値は下記のように計算できます。
例えば1時間当たりの人件費が2,000円の従業員が毎週(月4回)5時間かけて行う業務があります。その業務を効率化して1時間に短縮できるならば、月当たりの業務効率化の価値は「2,000(円) × 4(時間) × 4(週)」で32,000円となります。業務効率化の価値がわかれば投資の回収期間や投資の採算性を判断できます。
・IT投資を優先順位づけして考える
IT投資というとIT企業に依頼してシステムを構築するイメージがあるかもしれませんが、それだけでありません。業務ごとに適切なIT化の手段がありますが、大きく分けて3つの手段を優先順位が高い順にご紹介します。
1.既存のツールを導入する
社内コミュニケーションや請求書作成など、多くの企業で共通して行われる業務は、すでに効率化できるツールがあります。自社用に開発するよりも費用は少なくて済むので、まずは既存ツールの利用を考えてみましょう。こちらの記事で無料で使えるツールをご紹介しています。【業務効率化ツール6選】いつもの業務を楽にする無料ツールまとめ
2.システムを構築する
システムはしっかりとした業務仕様に基づいて構築されます。仕様外のことは行えませんが、仕様にもとづいて行われる業務では大きなパフォーマンスを生み出します。
しかし、システムの構築は投資規模が大きくなるので、採算のとれる規模の業務であること、仕様がしっかり固まった業務であることが必要です。
3.業務自動化ツールを使って自動化する
RPAなどの業務自動化ツールを使って、業務フローを丸ごと自動化する方法です。例えばRPAはPCをロボットで自動操作するので、PCを使った定型業務ならば基本的に何でも自動化できます。業務手順をそのまま自動化できるので、開発費用が小さくて済むケースが大半です。
業務効率化の大きな武器になるRPAですが、ツールのライセンス費用には注意が必要です。導入するPC1台当たり年間20~100万円ほど継続した費用が発生します。ライセンス費用を回収できそうにないという方は、完全無料で利用できる「SikuliX」というRPAツールがおすすめです。
RPAについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。図解でわかるRPA入門 | 仕組みや種類、無料ツールまでわかりやすく解説
まとめ
厳しい中小企業の採用状況のなかで人手不足を解消するには、業務効率化に取り組む必要があります。短時間でできる方法で業務を効率化させましょう。
業務の棚卸を行い、効率化すべき業務に優先順位をつけたら効率化の開始です。まずは業務手順を変更しないで済む方法から効率化を検討しましょう。各業務に対して「減らせないか、アウトソーシングできないか、担当者は変えられないか、過度に高品質になっていないか」と考え、当てはまるものを効率化します。
次のステップとして業務手順の改善に挑戦しましょう。業務手順を変更して時間を短縮するにはITの活用が重要になります。業務の改善効果を算出できるようにしておき、IT投資の効果を判断できるようにしましょう。
バルモアでも業務自動化による業務効率化のサービスを行っております。効率化できる業務を自力で探すのが難しいというお客様には、無料で自動化に適した業務を特定をお手伝いをいたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。