業務プロセスとは?業務改善の全体像と中小企業がやるべきはじめの一歩

業務プロセスとは?業務改善の全体像と中小企業がやるべきはじめの一歩

業務プロセスとは?

「人手が足りなくて業務が回らない」「費用がかかり利益を圧迫している」といったお悩みありませんか?

業務量に対して人手が足りない場合や費用が増えすぎているケースでは、業務改善が必要です。一般的には、業務を棚卸して業務プロセスを可視化、課題を見つけて効率化を図る、という流れで業務を見直していきます。

しかし、これだけではどこから手を付ければいいかわかりません。継続的な改善を進めるためには、まず業務プロセスや改善サイクルの回し方を理解する必要があります。

本記事では、業務改善にこれから取り組む中小企業のために、業務プロセスの基礎知識やPDCAサイクルの回し方、そして最初に取り組むべきことを解説します。

業務プロセスとは

まず、業務プロセスとは一連の業務の流れを意味します。プロセスという単語は、過程や手続きのことで、何らかのインプットを通して、加工され、アウトプットとして出力されるイメージがわかりやすいかもしれません。

商品を販売している企業を例に挙げると、材料の仕入れや商品の製造、販売など複数の業務が連携し、業務プロセスとして成り立っています。

つまり、業務プロセスを改善するというのは、この一連の業務の流れを改善すると言い換えられます。業務単体に目を向けがちですが、業務と業務の連携にも目を向ける必要があるのです。

業務プロセスの改善には業務フローが必要

次に業務プロセスの改善に欠かせないものが業務フローです。なぜなら業務フローを作成することで業務プロセスを可視化でき、業務改善の土台になるからです。

土台?と疑問に思われた方もいるでしょう。業務プロセスを改善する際には、業務フローという土台が必要なのです。改善を進めるなかでどこに問題があるのか、どこを改善するのかを決めるときに業務フローをもとにします。

業務フローは問題の特定に役立つだけではありません。他にも3つのメリットがあります。

認識を合わせる共通言語になる

業務プロセスの改善は一人ではできません。各部署の担当者の協力を仰ぎ、現場の生の声が必要になります。他部署との認識を合わせる際に役立つのが業務フローです。一人ひとりが異なる方法で改善を行うのではなく、方向性を合わせるのに役立ちます。

定型業務を見分けられる

業務フローを作成することで個々の業務の全体像がわかるようになります。その結果、業務を精査する際に定型業務を見極められるようになります

定型業務とは、人の判断を伴わないマニュアル化できる業務のこと。手順が決まっている業務であれば、RPAをはじめとした業務自動化ツールに処理を任せることが可能です。そのため、作業時間の大幅な短縮といった大きな改善効果があります。

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バルモアの業務自動化とは?

属人化を解消できる

業務フローを書くことで誰でも業務の流れがわかるので、属人化の解消にもつながります。人の判断や経験を伴う非定型業務についても、知見やそのとき取った行動を蓄積することで対応できます。

業務フローを軸としたPDCAサイクル

業務フロー作成後は以下のPDCAサイクルを回して改善活動を実施していきます。

  • P1:現状の業務フローを書く
  • P2:課題管理表を書く
  • P3:改善後の業務フローを書く
  • D:改善後の業務フローをもとに業務を実施
  • C:実施後に出た課題を課題管理表に書く
  • A:課題の解決策を決定する

P1から始まりAで改善サイクルを回し終えたら、P3に戻ります。

Plan:業務プロセスの現状と理想をフローに起こす

まずは現状の業務フローを書きましょう。ここで書いた業務フローが課題発見の土台となります。

業務フローを書くには、ビジネスプロセスモデリング図(BPMN)がオススメです。フロー図を描く方法はいくつかありますが、BPMNは世界標準の表記法です。

例として請求書作成業務をBPMNで書いてみました。請求書作成業務にも内容の確認や作成、承認、送付といった業務が連なっていることが一目でわかります。

請求書提出プロセス

そしてこのフロー図をもとに課題管理表に課題をまとめていきます。課題をまとめるには担当者へのヒアリングが必要ですが、いきなり話を聞いても時間の無駄です。フロー図からボトルネックとなっているポイントの仮説を立て、そのポイントだけ回答してもらうのがコツ。

例えば、請求書の送付をメールで連絡するのではなく、Web上でやり取りすればいいのでは?といったように仮説を立てられます。

課題が見えてきたら解決策を検討し、新たな業務フロー図を描きましょう。今回はこのようになります。

請求書提出プロセス改善後

Do:改善後の業務プロセスをもとに業務を実行

改善後の業務フローを関係者に共有し、実行に移します。解決策を盛り込んだ手順に沿って業務をテストします。

ここで注意すべきなのが一度ですべてがうまくいくとは思わないこと。業務フローを書き換えただけでは、実業務の運用で対応できないことも出てきます。その場合は課題として書きとめ、臨機応変に対応できるようにしましょう。

Check:実施後に出た課題を課題管理表に書く

業務を試してみて上がってきた課題を管理表に記入して確認します。業務の頻度に応じて1日、週、月単位でチェックしましょう。1か月を超えてくると課題に直面した際のリアルな情報が失われてしまうので、少なくとも月単位で確認するのがコツです。

Action:課題の解決策を決定する

課題管理表をもとに改めて解決策を検討します。解決策を検討するときは、現状と改善策実施後の結果のみに着目するのではなく、課題の発端となった人の判断やコミュニケーションも見るべきです。

例えば、Web上で請求書をやり取りする改善策を実施したはいいものの、郵送でしか受け取れない取引先にはどう対応すればいいでしょうか?今回は担当者が郵送で送りましたが、郵送するだけなら担当者でなくてもいいはず。担当者の行動に着目することで、Web上で郵送まで代行してくれるサービスを利用するといった解決策の検討に役立ちます。

始めに手を付けるべきこと

業務プロセスやPDCAサイクルの全体像が見えたところで、はたして中小企業は始めに何をすべきでしょうか?

最初にやることは改善を実施する業務プロセスを特定することです。自社の目的に照らし合わせて優先順位を付けましょう。

特定する方法としては「作業負荷が高い業務」「顧客満足度につながる業務」を軸に検討します。

作業負荷が高い業務

作業負荷が高い業務は、業務のボトルネックとなっていることが多く、さらに現場の担当者の負担も大きいため、真っ先に改善に取り組むべきです。

例えば、毎月の給与計算や年末調整などの経理業務は負荷が高いといえるでしょう。月末に残業が増えるといった、目に見えて業務量が変わるものは要注意。業務量の変動が大きいものは人を雇うことで解消しようにも業務量が少ないときには手が空いてしまうため、簡単に雇えないという課題があるからです。

顧客満足度につながる業務

顧客満足度につながる業務も言うまでもなく改善の優先度が高い業務です。顧客満足度の高低は売上に直結するからです。

クレームやサポート対応が例として挙げられます。顧客対応が絡む業務はスピードがものをいいます。原因の調査や適切な回答を提供するために、部署間の連携を見直すといった改善が考えられます。

まとめ

おそらく、本記事をご覧いただいている皆様は、業務改善にこれから取り組むところではないでしょうか?業務改善で重要なのは、現状の課題を整理することです。

課題を見つける効果的な方法が業務フロー。誰でも読める形で業務の全体像を描けるのでぜひマスターしましょう。フロー図を書く際によく使われるBPMNの書き方についても執筆予定です。

課題となる業務が定量化できるルーチンワークであれば、業務自動化をご検討ください。マニュアル化できる業務であれば、人がやるよりも正確、高速に処理できるので大幅な時間短縮につながります。